「ブレグジット後のイギリスはどうなる?」~ブレグジットまであと半年!イギリス投資は?~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol. 110

こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

日本ではあまり話題になっていないようですが、欧米では、以下の事件に注目が集まっています。

メイ首相「暗殺未遂事件にはロシアの情報機関員が関わっている」

これは今年(2018年)の3月にイギリス南部で、ロシアの元情報機関員セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリア氏が、ロシア製の神経剤ノビチョクによって意識不明の重体に陥った事件です。使用されたノビチョクはかなり高純度なもので、高度な研究施設と高い技術者がいなければ製造できないため、おそらく世界でも1、2箇所でしかつくれないものだ、とされています。

セルゲイ・スクリパリ氏は2006年、イギリスに機密文書を渡した罪で有罪判決を受けた後に、米露間のスパイ交換によって国外退去となり、イギリスに移住。娘のユリア氏は2週間の予定で父の元を訪れていたところを事件に遭遇しました。現在、2人は奇跡的に回復し、安全な場所に移されているそうです。

この事件をきっかけに、欧米露ではお互いに外交官を追放し合い、経済制裁を発動する事態に発展。メイ首相はこの事件に関して「十分な証拠が揃った」として、欧州逮捕状(EAW)を取得した模様です。実はこうした、外交官を追い返したり、激しい経済制裁の応酬は、欧米では“見覚えのある風景”として映っています。「かつて2度起きた、世界大戦前と状況が酷似している」と言うのです。

★俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

【Vol.110『ブレグジット』目次】

〔1〕本文:「ブレグジット後のイギリスはどうなる?」〜ブレグジットまであと半年!イギリス投資は?〜

1、ブレグジットがもたらすのは、破滅か再生か

 ◎個人投資家が、海外投資で利回り以上に注目すべきなのは◯◯

 ◎ブレグジット決定後も、意外に堅調なイギリス経済

2、危機とチャンスは、隣り合わせでやってくる

 ◎イギリスで狙い目の不動産投資とは

 ◎海外投資をする場合、銀行口座はどうすればいいのか?

 

〔2〕次回予告(予定):「マネジメントスキルを身につけ、職を失う恐怖から解放される!」〜現場で生まれたマネジメント格言集(2)〜

〔3〕編集後記:ブレグジット最大の難関「北アイルランド国境問題」

〔4〕今後の特集スケジュール:2018年10月〜12月予定

◆〔1〕本文:

「ブレグジット後のイギリスはどうなる?」〜ブレグジットまであと半年!イギリス投資は?〜

いくぶん不気味な予兆のある中で、ブレグジットが半年後に迫ってきました。ブレグジットとは、イギリスが2016年6月23日に行った国民投票の結果に基づき、EU(欧州連合)から離脱することを指します。現在はリスボン条約の第50条に基づき、離脱に向けた準備を進めている段階です。しかし最大の難関である北アイルランドの国境問題を巡って、EUとイギリスの間で意見が対立。このままでは、合意なき離脱に突き進む可能性も出てきました。

今回は、この「ブレグジット」を取り上げます。本文を執筆するに当たり、今回はスペシャルゲストとして、一般社団法人日本IFP協会の代表理事でいらっしゃいます金融のスペシャリスト・荒木紳詞(あらきしんじ)さんをゲストにお迎えし、インタビュー形式で進めたいと思います。荒木さんが立ち上げた一般社団法人日本IFP協会とは、正しい金融知識を世の中に広めることを目的に、世界中の金融商品を比較・研究している団体です。

現在、対立と混乱が渦巻く欧州。果たしてブレグジットは投資家にとってチャンスなのか、それともピンチなのでしょうか? イギリスに協会の支部を持ち、現地の人との交流も多い荒木さんに、いろいろお伺いしたいと思います。(以下、本文中について、名前が出てこない限り同一話者、敬称略)

■1、ブレグジットがもたらすのは、破滅か再生か

欧州との合意に向けて、目下、交渉が難航しているイギリス。メイ首相は「万一、EUとの合意ができなかったとしても、この世の終わりとはならない」と発言するなど、合意なき離脱の可能性をも示唆しています。2019年3月29日の離脱に向けて、10月までに離脱協定の合意を目指していましたが、11月にズレ込む可能性も出てきています。

【個人投資家が、海外投資で利回り以上に注目すべきなのは◯◯】

俣野:それでは荒木さん、よろしくお願いします。荒木さんが設立された日本IFP協会が、イギリスにJIFPA Londonを設立してから、早4年余りが経ったということですが、その間に感じたことはありますか?

荒木:私たちが当地に事務所を開設し、現地の金融機関や不動産開発業者との間にネットワークを構築してきた中で感じているのは、イギリス国民がブレグジットを選択した、というのはまさに世界を変えるできごとだった、ということです。日本のメディアでは、ブレグジットと言えばネガティブ要因として捉えられていることが多いと思いますが、それらは主に政治的なことに関してです。

俣野:そうは言っても、元来、政治と経済は切り離しては考えられませんから、ブレグジットは、やはり投資に関してもネガティブな影響を与えることになる、とお考えでしょうか?

荒木:たとえば現在、イギリスはEUに加盟していることによって、銀行業がシングル・パスポート(単一銀行免許制度)の恩恵に浴しています。シングル・パスポートとは、EU内のどこかで免許を取得すれば、域内で自由にサービスを提供できる、という制度です。EUから離脱すれば、この制度の対象外となり、銀行にとっては確かにネガティブ要素となり得ます。しかしそれを考慮しても、なおイギリス金融界の優位性は揺るがないだろう、というのが我々の見方です。

俣野:現地で実際に活動していて、そうした兆候を感じるのでしょうか?

荒木:はい。我々は金融を研究する傍ら、日々、業界の方々とお会いしていて、金融業界の“トップメジャーリーガー”がイギリスに集結してきているな、という感じがします。一番びっくりしたのは、お会いする10人中、イギリス人は3人くらいで、後はアメリカ、ドバイ、南米とか、スイス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク…といった外国人なのです。皆、現地で働いている人たちなのですが、それこそ世界中から金融の逸材が集まっています。

俣野:そうそうたる顔ぶれが集まっている、ということは、彼らを惹きつけているものがある、と。

荒木:俣野さんのご質問に順番にお答えしますと、まずは投資に関してですが、ブレグジットによってイギリスポンドが値下がりしていることは、外国の投資家にとっては、逆にポジティブ要因です。本来、通貨ポンドはもっと高騰していてもよかったのです。当時の世界経済の流れと、イギリスの成長具合や産業要因等を考慮すると。現在、ポンドは150円前後で推移していますが、ブレグジット前の2015年には200円近くまで上がっていたこともありました。

実は海外投資をする場合、考えるべきなのは利回りよりも、むしろ投資をする国の通貨が、対日本円に対していくらなのか?ということと、今後の見通しはどうなのか?ということの2点です。たとえば日本円が将来的に1米ドル50円になる、ということはあり得ないでしょう。このように、投資対象国の経済状況に関心があって、為替市場の相場や流れをつかんでいれば、ある程度の予測はつきます。

【ブレグジット決定後も、意外に堅調なイギリス経済】

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