【他人をバカにすることで生きる男たち――⑳そこそこ出世した“オジさん”が会社にしがみつくワケ】
前回は、SOCとは「人生であまねく存在する困難や危機に対処し、人生を通じて元気でいられるように作用する人間のポジティブな心理的機能」のことで、「生きてりゃしんどいこともあるよ。それはそれとして、明るく生きようぜ!」というたくましさである、というお話しをしました。
今回は「大虐殺の生存者の『自我を捨ててまでただ生き続けようとは思わなかった』という姿勢とは対象的」な人たちについてです。
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人を見下すことで生きている“自称エリート“たち。いい大学を出て、大企業や知名度のある企業に勤め、そこそこ出世し、世間的には「勝ち組」の彼らは、その外的な力に胡座をかき、内的な力を高める努力を怠ってきました。
彼らのようなタイプが持つSOCを、アントノフスキーはこう呼びました。
Fake SOC―――。
そうです。“フェイク・ニュース”のフェイク。偽りのSOCと名付け「高いSOC」と区別したのです。
外的な力だけに依存する“Fake SOC”の持ち主は、そこそこSOCが高い。しかしながら、本当にSOCの高い人が持つ“穏やかな自信”や“しなやかさ”がありません。
「彼らはやがて変化する現実への適応が効かなくなる」。
アントノフスキー博士は、1987年に書いた著書「Unravelling the Mystery of Health: How People Manage Stress and Stay Well」の中で、こう述べています。
以前、このコラムで秘書室のメンバーが頭を抱えていた“定年で顧問になった元常務”を覚えていますか?
“元常務”は、来る必要ないのに会社にきては、現役だった頃の部下”を呼びつけて説教したり、人事部のメンバーを呼びつけアレやコレやと口出ししていました。