「初めての海外投資入門」 ~これだけは気をつけたいポイント~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.45

「初めての海外投資入門」

 ~これだけは気をつけたいポイント~

 こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 このメルマガをご覧のあなたは、おそらく投資に興味があるか、投資のことを知りたいとお考えなのだと思います。

 たとえ投資をしたことがない人であっても、現在、日本の金利がゼロに近く、海外の方が金利が高いということはご存じでしょう。ということは、「当然、そっちに預けた方がお金は増える」ということは明らかです。にもかかわらず、多くの人が踏み込めないでいるのには、もちろん理由があります。

 今回の当メルマガの特集は「海外投資入門」です。本文に入る前に、まずは現状認識を行うことから始めたいと思います。

NTT懲りない惨状 海外投資失敗で1兆円の損失

 上記の記事は、「NTTデータが米パソコン大手デルのIT(情報技術)サービス部門を買収する」という内容です。NTTグループはこれまで、今後の国内市場の成長鈍化を見据えて、2000年代後半から欧米を中心にM&Aを展開してきました。主にNTTドコモが中心となって海外投資を進めてきましたが、4度の海外M&Aにすべて失敗。現在はインドで2009年に行った投資資金を引き揚げるべく調整中のようです。ドコモに代わり、今後はシステム開発のNTTデータが海外戦略の中核を担うことになるそうです。

 ここでお伝えしたいのは、「日本を代表する巨大企業が、海外投資に失敗している」という事実です。NTTは、いわば日本企業の中でもトップクラスの「勝ち組」です。優秀な人材と設備、豊富な資金力を持っています。そのNTTですら損失を出しているというのは、「それだけ海外投資は難しい」ということを物語っています。

 もうひとつお伝えしたいのは、「何を持って成功と言うのか?」という点にあります。この記事を読めば、NTTグループが海外売り上げを伸ばすために投資を行ってきたことがわかりますが、「いつまでにいくら欲しかったのか?」「どのような未来を思い浮かべていたのか?」というのは明確には記載されていません。ただ、ドコモが2000年に投資を始めて、2005年にすべて引き上げているというのは、少し短絡的な気はします。

 それでも、一連の海外でのM&Aにより、ドコモは2004年3月期に30億円規模だった海外売上高が、16年3月期には170倍以上の5196億円に増加したとあります。NTTグループ全体で見ると、16年3月期には売り上げが1兆9000億円にまで増加。18年3月期までに、海外売上高220億ドル(2兆6000億円)を目指しているということです。



【Vol.45『海外投資入門』目次】

〔1〕イントロ: なぜ、J・Yさんは投資に失敗したのか?

〔2〕本文:「初めての海外投資入門」~これだけは気をつけたいポイント~

1、腰を据えて海外投資に取り組む前に知っておくべきこと

 ◎海外投資の大前提とは

 ◎投資商品の優位性を決めるもの



2、良い投資商品に巡り合うための「軌跡」

 ◎投資の不変的な原理

 ◎どうして目的意識が必要なのか?



3、海外投資で「ホンモノと出会う方法」

 ◎どうやって不慣れな海外商品を選べばいいのか?

 ◎海外投資で大きな失敗をしないための3つのポイント



4、それでも海外投資を目指すべき理由

 ◎我々は「海外に出ざるを得ない」

 ◎海外投資を加速させる2ステップ



5、世界には、こんな金融商品がある!

 ◎事例1:イギリス不動産ファンド

 ◎事例2:保険も投資商品の1種(アメリカ)



6、投資初心者によくあるお悩みQ&A

 ◎Q1:取引する会社は、やっぱり大手がいい?

 ◎Q2:「手続きが面倒」「やっている暇がない」をどう解決する?

 ◎Q3:少額から始められる投資法というのはあるのか?



7、内向きになりつつある日本



★本日のワンポイントアドバイス☆★

 投資をする際、大きな失敗をしないための3つのコツ

〔3〕次回予告(予定):

「現物資産投資ってどうよ?」~現物資産の正しい考え方と活かし方~

〔4〕ニュースのビジネス的着眼点:

「世の中の逆を行く」のが投資家発想

〔5〕編集後記:

 強引な「外国為替政策」を実行したマレーシア



◆〔1〕イントロ:

 なぜ、J・Yさんは投資に失敗したのか?

 次に、海外投資で失敗する典型的なパターンをご紹介したいと思います。J・Yさん(30代前半・ウェブエンジニア)の事例です。

 ある日、J・Yさんは知人から「良い投資セミナーがある」と誘われ、「友人の紹介なら」と行ってみます。J・Yさんはそれまで、株と純金積立てをやっていましたが、それほど経済や金融に詳しくはありませんでした。行ってみると、セミナーには30名近くの人が参加していました。

 セミナーで、「日本は投資に適していない」「海外の投資先には年利6%以上のものがたくさんある」「世界には年利20%も付くファンドがあって、それは日本の金融機関からは買えない」と言われます。講師から「この金利なら、複利で20年後にはこんなに増えます」と実演されますが、J・Yさんは「確かにそうだけど、そんなに毎年は上手くいかないんじゃないか」と内心では思います。

 それなのに、J・Yさんは「20%はムリでも、3%くらいはいけるかも」と思い始めます。結局、25年契約でその積立型案件に投資。しかし1年くらい経ってみて、「これはダメだ」と思ったJ・Yさん。解約してもお金はまったく戻らず、100万円ほどの損失となったのでした。

 個人で行う海外投資の失敗は、たいてい、このJ・Yさんと同じような経緯をたどります。この方も、NTTと同じパターンをたどっているのがおわかりでしょうか?つまり、「見切りをつけるのが早すぎる」ということです。

 投資とは本来、10年~20年スパンで見ていかなければならないものです。それをたった1~数年、投資しただけで「これは失敗だ・成功だ」と判断できるものなのでしょうか?もちろん、事情が変更になってやむなく、ということはあるでしょうし、売り手側の誇大広告に乗せられてしまった、というのもあるかもしれませんが。

 実際のところ、彼らがダマされたのか、それとも単なる見込み違いだったのかは、今となってはわかりません。続けていれば、もしかしたら挽回できたのかもしれませんし、ダマされていたのであれば、余計傷口を広げる結果となったのかもしれません。

 彼らがどのような投資戦略のもとに投資を進めたのか、詳しいことは不明ですが、少なくとも投資した商品に何かしら「自分が求めているものと合致している」と思ったからこそ心惹かれたのでしょう。しかし投資をしているうちに、「最初の目的を見失ってしまう」ことは多々あります。

「不安をなくしたくて投資をしているのに、投資していること自体が不安になる」。これが、投資の難しいところです。

記事の新規購入は2023/03をもって終了しました