米アマゾン株とテスラモーターズ株~午堂登紀雄の「フリーキャピタリスト入門」

営業は学ぶ価値のあるスキル

求人広告を出して反響が多いのは事務職で、営業職はあまり人気がないのは周知の事実ですが、だからなのか、募集広告を見ても、「企画営業」とか「○○コンサルタント」などと、営業色をぼかした名称が使われることも少なくありません。そういえば私も以前、組織を率いていたとき、「不動産コンサルタント募集」という求人広告を出してましたね。。。

しかし、ビジネスの基本は顧客を見つけて売ること、つまり営業です。

確かに紹介だけで成り立っている会社もあるし、チラシや広告を出せば顧客が来るという業態もあります。

しかし営業が不要な仕事は限られているし、営業力があればほとんどの世界で通用します。

紹介だけで食べている自営業者も、初期のころは営業して顧客を獲得し、評判を蓄積してきたからその状態を作ることができたわけです。

もちろん今はネットがあるので、うまく活用すれば有力な集客手段・訴求手段になる。しかしそうした技術を持たない人が「営業は苦手」といって避けていると、非常にしんどいと言えます。

たとえば公的資格を取得して独立したという、いわゆる士業で稼げない人が少なくないのも、ここに起因します。そういう人は「資格さえあれば勝手に顧客が来る」と勘違いしていて、しかも公的資格の多くは広告規制があるから、大々的に宣伝することも難しい。かくして開業したはいいものの、自分の存在を知ってもらえないから客は来ないということになりがちなのです。

国際的な大手会計事務所であるプライスウォーターハウス・クーパースのビリオネアに関する調査では、その79%が営業経験者だそうです。

営業を経験すると、どうやって潜在顧客にアプローチし、自分や自分の商品をいかにアピールするか、自分を信頼してもらえるかを学び、どうすれば顧客の問題を解決できるか、「買ってください」というクロージングはどうするか、さらには売上代金の回収まで含めて営業活動であり、アフターフォローも重要であるということも学びます。つまり営業マンとは、普通の人が抱く「兵隊」的な職業ではなく、コンサルタントやマーケターでもあり、全人格的な学習効果が得られる職業だと言えます。

もちろん個別には兵隊のようにこき使う企業もあるものの、今活躍している起業家や経営者の中には、そういう過酷な世界で鍛えられた人も少なくありません。リクルート出身の起業家で成功している人が多いのも、そこで培った営業センスやマーケティング能力が効いているのではないでしょうか。

業種業態にもよりますが、独立起業して稼ぎたいという人は、ウェブ集客の技術とともに、対面での営業を経験しておいたほうが良いかもしれません。

私もかつてはミニストップというコンビニで営業職を3年やっていました。とはいっても開拓営業ではなく、スーパーバイザーと呼ばれる加盟店に対する経営支援でしたから、純粋な営業とは言えないかもしれません。

数年前までやっていた不動産仲介のほうが営業に近いですね。数千万円から数億円もの物件を買っていただくわけですから。

記事の新規購入は2023/03をもって終了しました