人を活かし、チームの成果を最大化させる「報・連・相」の極意

 たたが報・連・相、されど報・連・相。

 若手の皆さんの中には、「仕事のホウ・レン・ソウ」という言葉を聞いたことはあっても、その意味や手法をしっかり学んだことのない人も多いかもしれない。実際、管理職や経営者の皆さんと話していると、「最近の若手はちゃんと報連相できないヤツが多い」と嘆かれることも多い。しかし、そういった場合に「報連相がないと嘆かれますが、ところで、報連相をちゃんと教えてはいるのですか?」と問うようにしている。そうすると、たいていの場合は、ハッと気づかれる。「そういえば、教えてはいないな」と。

 僕は、『仕事の基本 結果を出す人の「報・連・相」』(日本能率協会マネジメントセンター)という本を書いているのだが、報・連・相は、型にはまりすぎずに、実践的に使えることが第一だと考えている。

 ホウ・レン・ソウとは、報告・連絡・相談のこと。つまり、仕事をするうえで必要な情報を共有するための手段が「報(告)・連(絡)・相(談)」である。

 最近、社内の情報共有がうまくいっていないことが原因と考えられるトラブルが増えている。上司や責任者がお客様からの要望や苦情を「聞いていなかった」とか、お客様との交渉のプロセスを「知らなかった」とか、あるいは取引先とのトラブルがこじれてしまってから事情を知ったりなどのケースが少なくない。しかも、SNSで瞬く間に悪い評判が広まるなど、「あの時、一緒に動いていれば」とふり返る間もなく事態が悪化することもある。お客様の目も厳しくなっている今、会社の存続にかかわる事態になってしまう例もあることはご存知だろう。

 お客様への対応力や社内の生産性を上げるには、正確かつ素早い情報の伝達・共有が大切だ。ところが、情報伝達がうまくいかないために、タイミングを失したり、お客様を失ったり、余分なコストがかかったりするケースが少なくない。今こそ、情報伝達の基本「報(告)・連(絡)・相(談)」の徹底を図ることが大切ではないだろうか。

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