投資方針の転換期~午堂登紀雄の「フリーキャピタリスト入門」

受験勉強の功罪

・受験戦争の功罪

前回は学校教育にネガティブなことは書きましたが、学校教育や受験勉強を前面的に否定するわけではありません。

というのも、学校の勉強ができること、難関校に合格する学力をつけることは、それなりに意味があるからです。

受験勉強のメリットは、次のような力が養われる点です。

・日常的に勉強に取り組む姿勢

・自らモチベーションを維持する能力

・一定時間勉強する集中力

・勉強法を自分で考え工夫する能力

・合格までの戦略を描くプランニング能力

・複数の科目をバランスよく勉強する並行処理能力

・力を入れる範囲、手を抜く範囲を取捨選択する判断力

・点数や順位を上げたいという向上心

・競争に勝とうという闘争心

・あきらめず勉強を続ける精神力

これらの能力が、あまり勉強しない子よりも高い次元で獲得できます。

実際、一般的には高学歴者のほうが賢く多方面に対応でき、やる気・気力もあるものです。

詰め込み教育と揶揄されがちな受験勉強ですが、自らの意志で詰め込むというのは悪いことではありません。

・進学校のメリット・欧米校のメリット

進学校へ進むことにもメリットがあります。というのも、同級生がみな勉強熱心で進学志向が強ければ、子も影響を受けてそうなりやすい側面があるからです。

たとえば難関校への進学実績がない高校に通っていれば、東大は雲の上の存在で、自分には無理と感じてしまうかもしれません。同級生の多くが高校を出て就職や専門学校を選ぶ校風なら、子の選択肢もそうなりやすい。

しかしつねに東大合格者続出で同級生のほとんどが東大を目指すような高校に通っていれば、東大は普通の存在になります。東大を目指すこともごく当たり前に思える。

同様に、同級生の多くが卒業後は起業を選ぶ校風なら?子の選択もそうなる可能性があります。

それを体現しているのがアメリカやイギリスのトップ大学で、卒業生のほとんどは日本と同じように就職しますが、最終的なゴールは起業という人が多い点が、大企業に就職したい人が多い日本との違いです。

むろんアメリカでは在学中に起業する学生も多く、周囲に起業家が多いこともあり、起業という選択肢がつねに普通の状態として存在しています。

だからもし、大学を目指すのなら東大を目指し、東大が射程圏内にある学生なら欧米の一流大を目指すほうが、将来の選択肢を広げてくれると言えるでしょう。

・難関校の方が大学発ベンチャーは多い

ガリ勉ばかりでは起業力はつかないだろうと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではなさそうです。

たとえば大学発のベンチャー企業に限って言えば、企業数は東大がトップ、2位が京大、以下、筑波大、阪大、九州大と続きます。

2017年度?学発ベンチャー調査調査結果概要(平成30年3?)経済産業省 産業技術環境局 ?学連携推進室

順位 ?学名 2015年度 2016年度 2017年度

1 東京?学 189 216 245

2 京都?学 86 97 140

3 筑波?学 73 76 98

4 ?阪?学 79 74 93

5 九州?学 63 70 81

6 早稲??学 65 62 74

7 名古屋?学 33 38 69

8 東北?学 50 53 56

9 東京?業?学 53 50 53

10 DH?学 42 43 52

(デジタルハリウッド大学)

東大はそのブランド力から民間企業と組んだりしやすいので実現できているという側面もありますが、お金の面で言えば、最?出資者は創業者が最も多く62.3%。取締役や従業員、創業者の家族・知?が最?出資者である場合と合わせると83.0%。事業会社が最?出資者である企業は6.7%、VCは5.2%に過ぎません。

つまり創業者自身が個人の資金を拠出して設立しているのです。

また、東証マザーズに上場している企業の経営者の出身校を調べると、1位が東京大学、2位以下が慶応大学、早稲田大学、京都大学、明治大学と続いています。

これもマザーズ市場に限定した話とはいえやはり高学歴社長が多く、そういう意味でも基礎学力の高さは、「チャンスを手に入れられる素養」につながることは間違いないと思います。

・大学受験はどこまで重要か

私の周囲の起業家を見ても、東大・京大はもちろん、早稲田慶応上智など難関大学出身の人が多いのが実情です。

ただ、そのすべてが親に言われて進学や受験校を選んだわけではなく、自ら選んでいます。そういう意味でも、高校生の頃からすでに自分の方向性は自分で決めるという素養を持っていたということでしょう。

海外を見ても、ビルゲイツ氏やマークザッカーバーグ氏はハーバード出身(中退)、特にシリコンバレーを擁するスタンフォード卒の起業家は非常に多く、グーグル創業者のラリーペイジとセルゲイブリン、ナイキ創業者のフィリップナイト、ほかにもヒューレットパッカード、サンマイクロシステムズ、シスコシステムズ、ネットフリックスの創業者を輩出しています。

最近ではスペースX社、テスラモーターズを率い、2016年にフォーブス誌の世界で最も影響力のある人物ランキング21位に選出されたイーロンマスク氏ですが、彼は名門ペンシルバニア大ウォートンスクールを経て(しかもスカラシップを獲得している)、スタンフォード大学院に進んだほどの学力を持っています(が、2日で中退)。

むろんアメリカはエッセイや面接のウエイトが高いので学力だけではありませんが、基礎学力の高さが稼ぐ力に直結していることは言えるでしょう。

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