「敏腕FPが教える良い借金・悪い借金」~結局のところ、借金とは“悪”なのか?~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.118

こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

2019年の消費税増税の対案として提出されたポイント還元。今のところ、中小企業で5%、大手系列のフランチャイズチェーン等では2%の還元率にする、という案が浮上しています。政府はこれによって、増税による混乱回避と同時に、日本で普及が進んでいないキャッシュレス決済を促進したい意向です。

現状、クレジットカードですら使えないお店が結構あります。クレカの普及が進まない一因は、決済の度にお店側がカード会社に支払う5%前後の決済手数料が負担になっているためです。そこで、政府はポイント還元を機に、その手数料に3.25%の上限を設けようとしています。当然、カード会社はこれに反発。手数料が高い理由は、「日本の消費者の間でリボルビング払いが普及しないせいだ」と言うのです。

カード会社、手数料上限に反発

カード会社にとって都合の良い支払い方法を、利用者が選ばないからといって、「だったら取れるところから手数料を取ろう」というのは、自分たちの首を絞めるに等しい行為のような気もしますが…。

★俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

【Vol.118『良い借金・悪い借金』目次】

〔1〕本文:「敏腕FPが教える良い借金・悪い借金」〜結局のところ、借金とは“悪”なのか?〜

1、借金とは「してはいけないもの」なのか?

 ◎借金で注意すべきなのは「利子が付く」こと

 ◎自動貸付サービスという“甘い罠”

2、借金を使いこなす

 ◎借金を自分の味方にする

 ◎借金をする前にやるべきこととは

〔2〕次回予告(予定):「2018年特集・総復習号!」【新春特別号】〜2019年を迎えるに当たって、2018年を振り返る〜

〔3〕編集後記:サラリーマンに朗報!転職でも独立でもない、第3の選択肢とは?

〔4〕今後の特集スケジュール:2019年1月〜2月予定

◆〔1〕本文:

「敏腕FPが教える良い借金・悪い借金」〜結局のところ、借金とは“悪”なのか?〜

さて。今回は、特集のテーマとして借金を取り上げます。私が金融の専門家と共同運営している一般社団法人日本IFP協会公認マネースクールでも、よく聞かれる質問です。世間では、「借金=悪いもの」とされていますが、実際のところはどうなのでしょうか?それを本特集で明らかにし、その活用方法を探ってみたいと思います。

■1、借金とは「してはいけないもの」なのか?

多くの人は“借金”と聞くと良くないイメージを思い浮かべるでしょう。時々、テレビなどでも流れてくるのは「借金苦により◯◯」といったマイナスのニュースです。けれど本当に、借金とは忌むべきものなのでしょうか?

【借金で注意すべきなのは「利子が付く」こと】

通常、借金には利子が付くため、借りたお金よりも当然、返すお金のほうが多くなります。貸す側は利子をもらえるから貸すのであって、普通に考えて、借りる側は借りる以上のメリットがなくては損をします。

一方、お金を貸す側である金融機関にとっては、相手が支払う利子が自分たちの稼ぎです。元金は、もともと自分たちが持っていたお金ですから、稼ぎではありません。万一、アテにしていた金利収入が得られなければ、自分たちも従業員の給料や他への支払いができなくなり、苦しい立場になります。ということは、逆にお金を借りている人が全額返済してしまったら、それ以上の金利収入を得られないことにもなります。これについては、後ほどまた触れます。

本来、借金には良いも悪いもありません。ただ、借金をして良い結果を導けた人にとっては良いものであり、悪い結果になってしまった人にとっては悪いものに感じられるだけのことです。借金とは、とどのつまりは単なるお金の調達手段の1つに過ぎません。つまり、「何を目的に借金をするのか?」ということが、その借金が良いものになるか、悪いものになるのかを分けると言えそうです。

それでは、具体的にはどのような借金が良い借金と判断されるのでしょうか。先ほどもお伝えしたように、借金で特に気をつけるべきなのは金利です。怖い借金とは、金利が高く、支払いが遅れているうちに、複利で返済金額が雪だるま式に増えていくような借金のことです。ところが、たとえ借金をしたとしても、そのお金を使って借金の金利を上回るような利回りを得られるものに投資を行い、それによって資産が殖えていくのであれば、それは良い借金だと言えます。

事例を挙げると、住宅ローンを借りてマイホームを購入すれば、借金はしているけれども、同時に資産を持つことができます。しかも、日本の住宅ローンは頭金ゼロか、ごくわずかの頭金でも組むことが可能です。マイホームを買うべきかどうかはさておき、金利も低く、減税効果もありますので、借金の種類としては、住宅ローンは借り手に有利な借金の1つだと言えるでしょう。

それに対して、悪い借金というのは、借金をするだけ自分の純資産(総資産-負債)を減らすようなもののことです。たとえば、バブル時代に借金をして盛大に結婚式を行うカップルがいました。確かに、ご両親や親族の方々を喜ばせるのには良いかもしれませんが、お金の使い道としては、少々考えものです。中にはハネムーン先で派手な夫婦喧嘩をした挙句に、帰国と同時に破局する“成田離婚”などという言葉もあったくらいで、派手な時代を偲ばせるエピソードです。

【自動貸付サービスという“甘い罠”】

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