親子喧嘩の原因~武田邦彦集中講座『家族の科学(2)』

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◆社会調査の結果からみる「親子喧嘩をしない秘訣」とは

私は人生で一度も子供とケンカしたことはありませんでした。すでに子供は結婚し、子供(私にとっては孫)がいますから、これから先はケンカはないでしょう。それは私がちょうど子供を持つ前後に、「親子の考えの差」について、ある事実を知っていたからに他なりません。そこで今回は、家庭の科学の第二回目にあたり「親子喧嘩にならないためには」ということでそのコツを書きたいと思います。

1973年から20年間にわたり、大規模な社会調査が行われました。家庭に関するものでしたので、調査の内容は多種多様にわたっていましたが、その中でもっとも成功したと思われる調査は、15歳ぐらいの人から80歳ぐらいまでの年齢の人を対象に「婚前交渉は是か非か」というものでした。

私たちが小さい時代には、結婚前にセックスをするということはまったく禁じられていて、もしも婚前に妊娠したりすると花嫁はお腹が大きくならないうちにビクビクしながら結婚式を挙げるという状態でしたが、そのうち、「できちゃった婚」と言われるようになり、結婚前に二人で温泉旅行に行くのをはばからなくなったのです。

ずいぶん社会も変わったものですが、もともと男女の関係は洋の東西、古今の社会でまったく異なるもので、一夫多妻から足入れ婚まで「こうしなければならない」というようなものではなく、道徳観の変遷によって大きく変わるものです。

調査は、「婚前交渉はダメ」というのに同意するかどうかという質問をして、「ダメな人」の割合を年齢と調査時期別に整理をしています。そうすると、とても面白い結果が出たのです。

40歳の人の回答を見ると、1973年にはダメが80%、1983年には50%、そして1993年にはついに20%まで下がっています。つまり、社会が徐々に婚前交渉を認めるようになり、同じ40歳の人を対象にすると、10年ごとに30%ずつ「ダメ」が減ってくるという傾向になったのです。

そんなの当然じゃないか!と思うかもしれないのですが、それがそうでもないのです。

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