「数の性質」を得意にする方法。

「うちの子、約数とか倍数の問題がだめなの。」「計算の工夫ができなくて困っちゃう。」といったお母様の声も多く聞かれます。受験生に苦手にしている単元を聞いてみると、「立体図形」と共に「数の性質」を挙げることが多いようです。今回は、「数の性質」を得意にするポイントをご紹介していきます。

〇数のセンスとは…

「数の性質」を得意にするためには、「数のセンス」を高めることがとても重要です。「数のセンス」と言うと、「やっぱりうちの子にはセンスがないのね。」とあきらめてしまうお母様もいらっしゃるでしょうが、そんなことはありません。問題を解くための「数のセンス」自体は正しく鍛えてあげることで、必ず身につくものですし、中学入試に対応できるレベルまで引き上げることが可能です。ここで言う「センス」は、けっして天才的なひらめきや、感覚だけに頼ったものではありません。「数のセンス」とは、「数に対する経験値」と「誰にでも身につけることが出来る一種の知識」を併せ持つこと、言い換えれば、「数そのものに多く触れ、数の知識をたくさん入手すること」なのです。そのあとに、問題に触れ、「あっ、そうか!」と思うことが出来れば、「数の性質」の単元は、階段を上っていくようにどんどん攻略できるはずです。まずは、「数に対する経験値」を高める練習法を2つ紹介します。

① 「九九」を使って、積のイメージを意識しよう。

② 「数に慣れる」ために、短期記憶力を高める。

それぞれについて、詳しくお話ししていきましょう。

〇「九九」を大切に!

① 「九九」を使って、積のイメージを意識しよう。

「いまさら、九九?」といぶかるお母様の声が聞こえそうですが、実はこれがなかなかに侮れません。「1×1」~「9×9」までそらんじることは、多くのお子さんが出来ているようです。ここで「九九の逆算」です。例えば「24の答えになる九九は何?」と聞いてみると途端に言葉につまるお子さんが出てきてしまいます。「数に対する経験値」を高める基本中の基本が、九九のような2数の積にしっかり慣れることなのです。簡単に言えば、「6はただの6ではなく、2×3だ。」と頭に思い浮かべられることから「数のセンス」が始まります。この2×3=6という式には、「2と3の積が6」だけでなく、「2の3倍が6だから、6は2の倍数」「6は2で割ると商が3だから、2は6の約数」「6は3で割ると商が2だから、3は6の約数」と言った意味が含まれていることをしっかり意識することが、「数に対する経験値」を高めること、ひいては「数のセンス」を鍛える足がかりになるのです。

12の約数を調べる時に、「12=1×12、2×6、3×4」と2数の積を順に書き出すと、12の約数は「1、2、3、4、6、12」となります。まずは、「九九の逆算」からしっかり練習することが必要になることが分かっていただけると思います。

わざわざ決まった勉強時間を取る必要はありません。ちょっとした時間の合い間に、「九九の練習ね。答えが12になる九九を全部言ってみて。」と優しく問いかけてあげてください。出来なくても責めてはダメです。始めは手間がかかっても、案外すぐに「にろく12、ろくに12、さんし12、しさん12」と言えるようになるはずです。

それでもなかなか上達しないときは、「九九」をきちんと覚えられていないのかもしれません。この場合は「九九の表」を頭に収める練習が効果的です。やり方は、「くく81」から「いんいちが1」まで逆に言わせる練習から始めて、スムーズに言えるようになったら、ある九九から斜め上や斜め下に九九の表を追う練習をしてみます。例えば、「しさん12」の斜め下方向なら「ごし20、ろくご30、しちろく42、はちしち56、くは72」ですね。これで準備完了です。

「九九」であっても、数を「積」でイメージする事、これは「数の性質」を考える上で最も大切な操作である「素因数分解」につながっていくのです。

〇「暗算能力」を高めよう。

② 「数に慣れる」ために、短期記憶力を高める。

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