成績が急降下!! の時は、学力を伸ばすチャンス到来!

テストの成績が急降下すれば、誰でも心配になります。

このまま下がり続けるんじゃないか。

実はちゃんと勉強してないんじゃないか。

よその子はもっとたくさん勉強しているんじゃないか。

睡眠時間を削ってでも、もっと勉強させないといけないんじゃないか。

心配な要素ばかり考え続けていると、極端な場合、「そもそもうちの子は受験にできるような頭ではないんじゃないか。」、そして、ついには、「中学受験をやめさせるべきじゃないか。」とまで考えてしまうお母様方が少なくありません。

でも、ご安心ください。能力不足や向き不向きが原因ではありません。

これまでの何千人ものご相談では、「最近テストの成績が急降下しました。」と幾度も話の中に出てきました。そのほとんどは、「頑張っているのに、成績が下がる。」だったり、「たくさん勉強させているのに、成績が下がっていく。」でした。

実は、それらの成績急降下の原因は、ただ、

“これまでやってきた勉強のやり方が通用しなくなった”

ということだけなのです。

学年が上がるたびに、学習内容が難しく複雑になるとともに、学習すべき量も増えていきます。これまで3回繰り返せたことが2回しかできなくなり、これまではすぐに理解できていたのに、理解に時間がかかる内容が多くなってきます。これまでの勉強方法では間違いなく、時間が足りなくなってくるのです。

やはり、小4生には小4生の、小5生には小5生の、小6生には小6生の勉強方法があります。

ですから、「テストの成績が下がる。」理由は、学習内容(何を)と勉強方法(どのように)を、学習内容やレベルに合わせて変化させるタイミングがずれてしまっているからなのです。

どのように変えていけば良いのかをお話しする前に、算数を例にとって、各学年の特徴をまとめておきたいと思います。

【学年ごとの勉強方法の特徴】

① 4年

・計算力や処理能力を高めるための訓練が優先される。

・繰り返し学習で、体に染み込ませる。

・暗記ばかりで、覚え込むことを中心に勉強しても、良い点がとれる。

② 5年

・基礎学力を前提に、解答を導くための道筋を納得していく学習が多くなる。

・より高度な計算力や処理能力を高めていく訓練が大切になってくる。

・基礎知識を組み合わせることで、応用問題を解く力(思考力)を養う。

③ 6年

・さらに高度な思考力、試行錯誤力を養う。

・納得した事柄をさらに発展させ、初見の問題に対応していく。

・典型題と試行錯誤が必要な問題を素早く見抜き、得点力を上げていく。

これらのことを踏まえて、成績の低下の理由を、4年の学習の様子から見ていくと次のように考えることができます。

4年の学習内容は、質・量共に繰り返しの丸暗記学習で何とかなってしまう。

  ↓

カリキュラムが進んでいくと、やる事が多くなって、丸暗記が通用しなくなる。

  ↓

もっと頑張って暗記しても、問われ方の違いで解くことができなくなる。

  ↓

成績の低下が始まる。

このような成績の低下は、子どもの記憶力の個人差によって、4年3学期に現れる子もいるし、5年2学期に現れる子もいます。しかし、時期は違っても、成績の急降下は、「これまでの勉強方法では通用しませんよ。」というサインです。これまでの勉強方法の良かった点と悪かった点を見つけ出して、正しく修正していかなければなりません。ところが、修正するのではなく、同じような勉強方法を継続させて、より頑張らせてしまう方が多いのです。

「今までは3回解き直しをさせていたから、これからは4回やらせてみよう。」というように、量だけで解決させようとむりやり頑張らせてしまう。ただでさえ、使える時間が減っているのに、これでは子どもは参ってしまいます。

ですから、勉強の取り組ませ方や、頭の使い方を考え直す必要が出てきます。「何をさせるか。」以上に、「どのようにやるか。」が、とても大切になってくるのです。

「成績が急降下した時がチャンス!」というのは、こういうことなのです。では、「どのようにやるか。」について少しヒントをお話ししましょう。

【「どのようにやるか。」のヒント集】

テストの結果からは、様々なことが発見できます。

下がってしまった偏差値だけを見てしまうと、「やってもできない。」、「頑張っても無駄。」と、後ろ向きの気持ちしか感じられません。

・字や式をていねいに書いているかどうか。

・図をきちんと描いているかどうか。

・「この問題はどうするんだっけ、忘れちゃった。」は、暗記に頼る学習の証拠。

といったように、気になるところ、改善できる要素を探っていきます。

その上で、

・必要な図をまず描くようにする。

・式を書いてから、計算を始める習慣をつける。

・文章の条件を、きちんと図に書き込むようにする。

・式の数値に単位を付けるようにする。

・問題文を音読するように(頭の中で読むように)、黙読してみる。

これだけでも、理解度は格段に向上していくはずです。

こんなことにも取り組んでみてください。

・計算するときに、暗算のレベルを上げて、筆算に比べ暗算のウェートを高めていく。

ここで言う暗算は、そろばんの暗算だけではありません。分配法則の利用などの計算の工夫や、平方数、×3.14の結果などの数に関する知識も含みます。

もう一つ、「どうやるか。」には大切なことがあります。それは、時間の使い方です。筋道を納得する必要があるとは言え、わからない問題を延々考え続けても、効果が上がらないばかりか、大事な時間がどんどん減っていきます。勉強時間を効率良く圧縮する方法をお伝えしましょう。

【〇△×学習法】

4年と5年の勉強の違いをもう一度おさらいしてみましょう。

 4年の勉強では、通塾日数や授業時間が少ないので、家庭学習時間も多めにとることができます。ですので、塾から出された宿題は基本的には「全部やる。」ということになると思います。

 5年になると、「取捨選択」がとても大切になります。学習量は、単純に4年の1.5倍です。「全部やる」から破綻するのです。授業で解説を聞いても分からなかった問題を、家庭でじっくり取り組む時間はありません。

 取捨選択の方法は、授業で扱った問題について、小問ごとに〇△×を付けてみます。

〇…授業内に正解できた問題

△…正解できなかったが、すぐに解決できた問題

×…解説を聞いてもよく分からなかった問題

家庭学習の第一優先は「△」印の問題です。お子さんの単元学習の成果を決定する問題レベルになります。授業内で解決しているので、復習に大きく手間取ることはないはずです。そのあと、「〇」印の問題も復習すれば、単元理解を固めることができますね。

ここで一番気を付けたいのが「×」印の問題です。どうしても、お母様は「もうちょっと頑張ればできるはず。」と教え込んでしまいがちです。捨てるのは勇気がいることですが、家庭で解決しようと無理をすれば、時間もかかり、子どもが混乱してしまって、できるはずの問題まで分からなくなってしまいます。塾の先生に質問するか、今は捨ててしまうかのどちらかを選んでください。

また、塾のカリキュラムはらせん状に組まれています。時が経てば、1ランクレベルが上がるものの、同じ単元内容が繰り返されます。その時には、「〇」「△」レベルの問題の理解が頭の中に残っていれば、案外、以前捨ててしまった「×」印の問題があっさり解決できたりもします。

参考までに、お話ししておきますと、上位の力を持った受験生は、「何が使ったら解けそうか」の糸口を発見し、「答えが出るためには何が分かればよさそうか。」と遡って考えることで、糸口と求めるべき答えから「挟み撃ち」にして、難問を攻略します。

たくさん問題を解いたり、問題をただ繰り返して解いたりするだけでは、こういった力はなかなか身に付きません。

手数を減らして、結果につなげる練習が必要です。作業量の軽減ですね。例えば、計算の工夫をして暗算することなどは、うまく「手を抜く」ための第一歩なのです。

【まとめ】

お話ししましたように、成績が急降下するのは、「これまでやってきた勉強のやり方が通用しなくなった」というサインです。それなのに、それまでと同じ勉強方法のまま、量だけで解決しようとしたり、一夜漬けの丸覚え勉強で乗り切るだけでは、待っているのは、挽回不可能なパンク、破綻です。サインを見落とさず、勉強方法を正しく見直せば、必ずお子さんの成績推移は良い方向に向かうはずです。それ以降のつまずきを最小限にしながら、前に進むことも可能なのです。

是非、この機会にお子さんの日頃の勉強方法をチェックしてみてください。